かつての東京の奥座敷・綱島は、豊かな森と歴史スポットがいっぱい 横浜市港北区を歩く

70年近い歴史の幕を下ろした綱島温泉東京園

今年の冬は東京でも積雪がありましたね。実は2年前の2月にはもっとすごい大雪が関東を襲ったのでした。今回は、その数日後、雪にめげずに神奈川県港北区の綱島周辺へウォーキングに行ったときの記事です。

綱島という地名は、州の中の島、中州、津の島という意味もあるらしい。南の鶴見川と東の早渕川に挟まれている地形が影響しているのですな。ウォーキングのスタートは、東急東横線の綱島駅。特急と普通との接続がうまく行けば、渋谷から20分程度で行くことができます。

綱島は東京や横浜のベッドタウンとなっているロケーションですが、戦前・戦後は「東京の奥座敷」とも呼ばれる大きな温泉街だったそうなんですよ。かつては80軒ほどの宿泊施設があったそうですね。でも、交通の便が良くなって、熱海や伊豆・箱根に短時間で行けるようになると、次第に廃れてしまったのですか。

それでも、私が行った2年前は数軒の温泉銭湯が残っており、なかでも駅近くの日帰り入浴施設「綱島温泉東京園」は古き良き時代の面影を留めていました。泉質はラジウム温泉で、飲用することにより、痛風、糖尿病、リュウマチ、神経痛、婦人病、高血圧などに効果があったそうな。

しかし、2015年5月19日、写真の「東京園」は神奈川東部方面線(東急・相鉄直通線)の工事の影響で無期限休業してしまったらしい。家からそれほど遠い場所ではないので、一度は行っておけばよかったと悔やんでも後の祭りなのでした。やはり、一期一会は重要なのだと思う今日この頃。

ちなみに、ここは歌手の三橋美智也が下積み時代にボイラーマンをしていたことでも有名だとか。今の若い人は、三橋美智也といっても知らないかもしれませんが…。

創建不詳のミステリースポット・綱島鎮守 神明社

綱島は、ところどころに小高い丘があって、緑のオアシスとなっておりまする。「綱島温泉東京園」のはす向かいの丘には急な石段がありました。

見上げると鳥居のようなものが見えます。高いところへは条件反射的に上ってみたくなる習性があるので、ほとんど何も考えずに丘の頂上に上りました。

そこには神社の社殿はなく、「綱島鎮守神明社」という存在感のある石碑が建っているだけ。

後で調べてみると、かつて古い祠があったのを老朽化により撤去し、替わりに石碑を建てたらしいですね。神明社の創建年代などは不詳で、綱島に人が住み始めた頃の創建とも言われているとか。人が住み始めた頃と言っても、あとで触れるように古墳もある土地なのですが…。

それはともかく、ネットでは、ここをミステリースポットとして紹介されていました。確かに、鳥居があってその先に何もない空間は、鳥肌が立つような違和感を覚えましたね。でも、丘からの眺めは良かったですよ。

地形が興味深い諏訪神社

その丘から綱島街道を挟んだはす向かいに、また小高い丘が見えます。そこにあるのが諏訪神社。どうして信州の諏訪神社がここに?と思ったのですが、ここ一帯はかつて、甲斐の武田家の家臣が治めていたそうですね。信濃の諏訪神社との関係も深く、ここに神社を建てたそうな。

丘の高さと崖の急峻さ、回りこむような参道の配置、境内の広さなどから鎌倉から戦国期の砦をイメージしてしまいました。かつては、神明社の石碑のある丘と諏訪神社の丘は地続きであったそうですね。丘を削って綱島街道が作られたのですな。

削られる前の急峻な丘の形状を想像し、もしかしたら城跡ではないか、と城の縄張りに思いをはせるのでした。

探検ログハウスと古墳が魅力的な綱島公園

諏訪神社のある丘から、東横線の高架をくぐり、駅の反対側にある小高い丘を目指します。そこにあるのが綱島公園。

雪が残る急斜面の階段を上って行くと、展望広場があって丹沢の山並みを眺めることができました。雑木林の広がる園内には、プールやテニスコートなどもあるのですか。

公園の中心にあるのが、こどもログハウス「モッキー」。このログハウスは月に5000人の子どもが訪れる大人気スポットなのだとか。

大人でも、ちょっと中が気になったので調べてみたんですよ。中には、かくれんぼスペースや見張り台、トンネル、わたりネットなどがありも地下には迷路もあるらしい。迷路好き、かくれんぼ好きの大人もきっといるはずだから、是非おとなログハウスも作ってほしいと思いました。

歴史好きにとってたまらないのは、綱島古墳という存在感のある円墳があること。

直径は約20m、高さ約3mの古墳で、発掘調査によって埴輪や鉄刀、鉄子、鉄鏃ほかが出土したそうですよ。それらの出土品などから5世紀後半に築造されたものと推定されているらしい。

この巨大な石は、古墳の石棺じゃないですよね。見晴らしの場所で、晴れていたらここに座って弁当を食べるのもいいですな。

駅近くに豊かな自然が広がる綱島市民の森

綱島公園から尾根伝いに歩くと、綱島市民の森。

駅近くに、これだけ緑が残っているとうれしいですね。ここは、綱島公園と尾根を連ねた山林。森にはスギやヒノキの植林、クヌギ・コナラの雑木林、孟宗竹などがあるそうな。ほかにも、この近くはかつて桃の栽培が盛んな土地だったそうで、ハナモモなどの花木も植えられているとのこと。

雪が積もっているので、スキー場の林間コースみたいに見えてしまうのでした。

中世土豪館の屋敷構えを残す飯田家住宅

丘の下には、江戸時代に名主を務めた飯田家のお屋敷がありました。

母屋は明治時代の建築らしいですが、かやぶき屋根の表門は江戸時代の建築で、市の文化財に指定されているとのこと。渋谷と横浜の間にある駅からほど近い場所なのに、江戸時代にタイムスリップした気分を味わえるなんてすごい。

かつて、アド街ック天国でこのお屋敷が紹介されたとき、かつて敷地内にあった池で氷を製造し、この街に製氷技術を広めたと紹介されたそうな。近隣には飯田家と関わりの深い氷問屋「池田乳業」が今も存在しているそうですよ。ちなみに、ここには今も25代目の御家族が住まわれているので、内部の見学はできませんので念のため。

このお屋敷で驚いたのは、周りにめぐらされた堀の一部が残っていること。堀と言うとお城をイメージしてしまいますが、それは中世土豪館の屋敷構えを残しているからだそうです。

中世の土豪は、平時はこのような山麓の居館で生活し、戦さの際には隣にある山上の砦に立て籠って戦ったのですな。

帰りは住宅街をテクテク歩き、鶴見川の河原を歩いて綱島駅に戻ります。鶴見川は一級河川に指定されていますが、まだ野趣あふれる水辺の景観が残っているのがいいですね。

それほど高い建物がないので、昔の人たちと同じ景観を眺められて得した気分になりました。

‎取材日 2014‎年‎2‎月‎11‎日

カテゴリー:神奈川

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永嶋 信晴

永嶋 信晴ビジネス便利屋兼ウォーキングライター

投稿者の過去記事

東京生まれ。早稲田大学および日本大学卒業。地方銀行に約十年間勤務した後、各種業務代行会社を設立し独立。趣味はウォーキングで、各地の名所旧跡を歴史的、あるいはオヤジ的な見地から訪ね歩く。司馬遼太郎とBS旅番組のファン。著書は、「新規開拓営業の教科書」(青月社)、「ハッスル老健」(ゆまに書房」など多数。

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