秘められた修験のパワースポット!埼玉県越生町「黒山三滝」

埼玉県の中央北部寄りにある越生町は、越生梅林や五大尊つつじ公園で名高い自然豊かな町です。その越生町にある『黒山三滝』は「天狗滝」「男滝」「女滝」の三つの滝からなり、新日本観光地百選の瀑布の部で第9位に選ばれた名瀑です。

古くから山岳信仰が盛んだったことから修験の地として知られ、滝の裏山である太平山では修験の祖である“役の行者”の石像などがあることから、近年、パワースポットとして脚光を帯びているのです。

古くからの観光地

『黒山三滝』へは、東武越生駅から黒山行のバスで25分の終点から徒歩約15分の場所にあります。バス停から自然溢れる光景の渓流沿いを歩いてゆくと『大正七年 田山花袋紀行の地 黒山の鉱泉』の記念碑があります。


ここは、大正7年に作家の田山花袋が訪れた地で、その時の様子は《山行水行》という紀行文に描かれています。この辺りには明治時代初期に発見された黒山鉱泉があり、その温泉に寄った時の模様です。

飯能市にある名栗の温泉よりは落ちるが、同じ越生にあった熊井の温泉よりは気持ちが良かったと語っていて、いずれここも開発が進み田舎の鄙びた温泉では無くなるであろうと推測しています。それからおよそ100年経過した現在、意外にそれほど開発されていない自然あふれる黒山が花袋の時代を彷彿とさせてくれます。

そして現在でも、手前にはペンション風の《黒山鉱泉館》があり温泉を楽しむことができます。

一つだけ離れた「天狗滝」

花袋の碑から少し歩くと左手に天狗滝の標識が現れます。

左側にある石段の横に落ちているのが滝に思えますが、「天狗滝」は、その先へ100メートルほど石段を進んだ正面にあります。


かつて霊山に天狗が住んでいたことから名付けられたもので、滝口から二つに分れて落下する姿が特徴的で、狭い岩間の間を落ちているので両方の岩が重なって全景が見れません。豪快な滝ではありませんが、うす暗い雰囲気の中で見え隠れする滝と静かに流れる滝の音が実に神秘的な趣を醸し出し、修験の地に相応しい景観を見せているのです。

武蔵おごせハイキング

天狗滝から先に進むと左側に小川を渡る橋が架かっています。


嘗ては修験の地であった黒山三滝周辺は、現在、《武蔵おごせハイキングコース》として整備されており、この橋を渡ると標高500メートルのところにある戊辰戦争で名高い顔振峠を通って、西武線の吾野駅方面の飯能市まで続いています。また、この周辺はアオネカズラというシダ植物の北限の自生地として埼玉県天然記念物に指定されている暖地性植物の宝庫なのです。

橋は渡らずにそのまま山道を進むと突然お土産物屋を兼ねた休憩所の『三滝休憩所』が現れ、趣のある佇まいが昭和を感じさせます。

“男”と“女”の滝

休憩所を抜けると黒山三滝の標識があり、いよいよ残る二滝に到着したことを教えてくれます。


朱色の夫婦橋の背景に二筋の滝が流れ、右上に落差10メートルの滝『男滝』があり、左下に落差5メートルの滝『女滝』が見て取れます。嘗て越生町出身で江戸吉原遊郭の名主だった尾張屋三平というものが、男滝・女滝を男女和合の神と見立てて江戸で紹介したことから吉原での信仰を集め、多くの人々が訪れるようになったのです。

毎年7月の第一日曜日に滝開きの儀式が、黒山熊野神社の神主・巫女・僧侶・修験者・天狗によって執り行われているのも歴史ある三滝故なのです。

男女と天狗の取り合わせ

このように修験の地であったことと、男女和合のシンボルとして見立てられた三滝であることから、現在パワースポットとして脚光を浴びることとなったのです。


神秘的で風光明媚なパワースポット『黒山三滝』は、訪れる人たちに癒しと活力を与えています。男滝に掛かる虹が輝く未来への橋渡しかもしれませんね。

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