レトロな雰囲気が楽しめる千代田区神田。文豪達も愛した神田老舗の食べ歩き

千代田区神田須田町界隈には、古くから愛された老舗があります。特に池波正太郎をはじめとして夏目漱石など主に多くの文化人が足繁く通っていたのです。平成に残る神田の老舗とは一体どんなお店なのか、早速訪れてみましょう。

蕎麦「かんだやぶそば」

江戸時代に始まった蕎麦文化は、江戸発祥の『藪』、大阪が起源である『砂場』、そして信州生れの『更科』が蕎麦御三家と呼ばれ、その『藪』の総本山とも云われるのが『かんだやぶそば』です。明治13年、浅草蔵前の蕎麦屋・中砂の四代目である堀田七兵衛が、現在の神田淡路町にあった“蔦屋団子坂支店 藪蕎麦”を譲り受け開業したのが、現在の『かんだやぶそば』の始まりです。

平成12年、東京都選定歴史的建造物の指定を受けたのですが、平成25年火災により約三分の一の店舗を焼失し多くのファンを心配させましたが、翌年、新店舗として営業を再開し、火災で焼け残った行灯や看板などはそのまま使用して老舗の名残を保ったのです。

藪のそばは、そば粉10:小麦粉1の割合故になめらかな喉ごしのそばで、辛口のコクのあるそばつゆに、そばをちょっとだけ付けて食べるのが通の食べ方です。まさに落語そのままの光景と云えるでしょう。

特にここでは酒の肴が豊富で、あなご焼きやそばすしなどの他、明治から残るそばつゆ風味の茶碗蒸し《小田巻蒸し》等で日本酒を頂き、〆にそばを手繰るのが醍醐味なのです。

あんこう鍋「いせ源」

江戸時代後期の天保元(1830)年、初代立川庄蔵がどじょう屋「いせ庄」として京橋に創業。二代目立川源四郎の時に現在地に移転し、「いせ庄」の“いせ”と源四郎の“源”から店名を『いせ源』に改名しました。当初は様々な鍋料理を提供していましたが、特に“あんこう鍋”が人気となったので、大正時代から専門店になったのです。

東京で唯一のあんこう料理専門店ですが、あんこうの獲れない夏場は創業以来のどじょうや鰻などの旬な食材の料理を供しています。店舗は関東大震災で焼失後、昭和5年に建てなおされたもので、入母屋造りの木造三階建ての建物には、欄干に施された菱形模様の彫刻などが特徴です。建築当時から使用している木製の看板など、当時と変わらぬ昔ながらの江戸風情を残しており、平成13年に東京都選定歴史的建造物に指定されています。

夏場は4人から、シーズン中は6人からしか予約ができないため常に行列は必至ですが、それでも一度は行きたい老舗です。

洋食「松栄亭」

『松栄亭』を創業した堀口岩吉は、麹町の西洋料理店を務めたのち、当時東大の哲学家フォン・ケーベル教授の専属料理人となり、その後、現在地で明治40(1907)年創業しました。2002年に現在の大正モダンを醸し出すような店舗に建て直され、店主も4代目が継承しています。

『松栄亭』の名物云えば、何をおいても《洋風かきあげ》。

初代の堀口岩吉がフォン・ケーベル教授の専属料理人であった時、教授の教え子の夏目漱石が教授宅を訪れた際、「何か珍しいものを」というオーダーをしたのです。そのオーダーに応えたのが《洋風かきあげ》で、冷蔵庫の余りものを、小麦粉でまぶしてフライにしただけの料理ですが、漱石は大変気に入ったそうです。

その後、現店舗を開業する際に正式にメニュー化し、現在でも当時のレシピを継承している100年グルメなのです。

甘味処「竹むら」

昭和5(1930)年の創業当時の姿を伝えている甘味処が『竹むら』。

自家製の餡を使用した《あわぜんざい》や《おしるこ》、そして名物である《揚げまんじゅう》は遠方からも訪れる人気メニューです。建物も当時のままで、東京都選定歴史的建造物に選定されているのも見逃せません。

“鬼平犯科帳”などの人気時代小説作家で、グルメとしても知られる池波正太郎氏が気に入り、「昔ながらの汁粉屋の風情」と絶賛したことから、池波ファンが訪れる現在の聖地巡礼のような人気ぶりでした。

時代が変わり現在では、アニメ「ラブライブ!」が放送され、アニメファンの聖地巡礼で殺到しているのです。勿論、若い方が多く、放映された《揚げまんじゅう》をオーダーするので、それと分かるそうです。

まさに時代と共に生きていく老舗なのです。

喫茶「珈琲ショパン」

かんだやぶそばの近くにある喫茶店が『珈琲ショパン』。昭和8(1933)年創業のショパンは、80年以上の歴史を誇る老舗喫茶店です。

歴史を感じさせる看板やファサードと薄暗いながら手入れが行き届いた清潔な店内に癒されます。小さなテーブルには動物を模った木製の灰皿が置かれる、まさに時代を感じる店舗です。

ショパンの名物は、いわゆる“餡”づくし。

一つは《あんプレス》で、餡入りのホットサンドです。名古屋の小倉トーストとは一線を画したもので、バターをたっぷり塗り込んであるので、適度な塩気と甘さが醸し出す風味は、リッチでどこか懐かしい味を感じます。人気商品のため、1グループ1個しかオーダーできないので要注意です。

もう一つが《あんオーレ》。アズキとミルクで作ったオリジナルジュースで、たっぷりの氷で意外にあっさりとした口当たりが美味なのです。

他にもある老舗の味

老舗上記でご紹介したほかに、この界隈には蕎麦《まつや》や鳥すきやきの《ぼたん》などあります。是非、レトロな雰囲気を味わいながら、グルメを楽しんでみてはいかがですか。

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