近藤勇や井上源三郎、沖田総司ら日野時代の新選組の足跡をたどる旅 東京都日野市

井上源三郎の菩提寺・宝泉寺

今回も、日野時代の新選組の足跡をたどる旅を続けます。日野宿本陣から日野駅に戻ると、そのすぐそばに宝泉寺があります。

本堂は、平成13年5月に新築落慶したそうで新しく、境内もきれいに掃き清められていました。

ここは前回も触れた、新選組6番隊長・井上源三郎の菩提寺だそうですね。宝泉寺墓地の入り口近くに彼の顕彰碑が、そして奥まった所に井上家の墓所がありました。

近藤勇や井上源三郎、沖田総司らが奉納した天然理心流の剣術額がある八坂神社

宝泉寺を出て、甲州街道沿いにある八坂神社に向かいます。八坂神社の本殿は最近できたみたいに見えますが、覆屋で、この中に1800年に建造された本殿があるのですな。精巧な彫刻が施された江戸後期を代表する神社建築で、日野市の指定重要文化財だそうな。

解説板によると、この神社には、後に新選組に参加することになる近藤勇や井上源三郎らが奉納した天然理心流の奉納額があるそうですよ。この奉納額は、安政5年に奉献されたもので、客分として沖田(惣次郎)総司の名も連ねてあるらしい。ちなみに、近藤勇は、天然理心流の宗家に養子で入り、4代目を襲名したのですね。

新選組6番隊長井上源三郎の資料館がある

次に向かったのは、近くにある井上源三郎資料館。資料館は個人経営で、第一・第三日曜日だけが開館日だそうですので念のため。前回同様、行った日は休館日だとわかっていたのですが、外から眺めさせてもらおうと思ったのです。

この資料館は、土蔵を改装したもので、平成16年1月にオープンしたらしい。あとで調べてみると、井上家は代々八王子千人同心を務めた家で、佐藤彦五郎に天然理心流を紹介したのは井上源三郎の兄・井上松五郎と言われているそうなんですよ。すると、井上家がなければ、新選組は誕生しなかったのかも。

当時、井上源三郎はここに住んでいたのでしょうかね。ネットで調べてみると、やはり実家のあった場所だとわかりました。井上源三郎は、大河ドラマの中で、兄弟子なのに後輩たちの細々とした世話をしてあげたり、庭を率先して掃除したり、とてもきさくでやさしい人柄に描かれていました。

リアルでも「源さん」と呼ばれていたように、無口で人の良い人だったようです。真面目で誠実な人柄で、若い隊士から慕われていたらしい。一方で頑固なところもあって、一度言い出したらきかない面もあったそうな。ドラマの最後のシーンも、まわりが止めるのも聞かないで官軍の鉄砲隊の前に仁王立ちになって戦死しましたね。享年40歳というから、近藤勇や土方歳三よりも年長なのですか。決して長いとは言えない人生でしたが、こうして資料館までできるとは本人も思っていなかったのではないかと思いました。

甲州街道沿いには、日野宿の交流会館があって、無料で観光ガイドをたくさんもらえるのがうれしかったです。新選組のグッズなどもたくさん並べられていましたよ。

新選組の育ての親・佐藤彦五郎のお墓がある大昌寺

次に向かったのは、大昌寺。立派な山門と塵一つ落ちていない境内に身が引き締まります。

ここには、前回ご紹介した日野宿の名主で本陣も経営し、さらに新選組の育ての親でもあった佐藤彦五郎のお墓と彼の妻で土方歳三のお姉さんのお墓があるらしい。由緒あるお寺らしく、墓地には日野の町ゆかりの人たちが大勢眠っておりました。たくさんお墓があるので、佐藤彦五郎のお墓が見つけられるかと心配になったのですよ。

でも、「安心してください。立ってますよ」。

何が立っているのかとツッコミを入れられそうですが、ちゃんと誠の旗がお墓の後ろに立っているのでした。新選組で町おこしをしている街らしく、ちゃんとゆかりの場所に目印をしてくれているので助かります。

それから、町の中の至る所に、古い写真のパネルが掲げられているのですよ。

同じ場所の現在と過去の風景が比べられるのは興味深いですね。日野本陣の受付の人やボランティアのおじさんもやさしかったし、町全体で旅人へおもてなしをしてくれる雰囲気が伝わって来ました。

ダンダラ羽織を着て写真が撮れる新選組のふるさと歴史館

ここから住宅街をテクテク歩き、中央ハイウェイの下をくぐりぬけて向かったのは、その名もズバリ「新選組のふるさと歴史館」。

ここは新選組の調査・研究・展示活動を行うため、平成17に年日野市が設けた施設。

ロビーには、日野高校の生徒が作った土方歳三の巨大肖像画。なんと、つまようじ19万本を使って作ったものだそうな。近くで見ると、ホントに細い爪楊枝に色を塗って作っているのがわかりました。これだけ根気のいる作業ができたのは、土方さんが好きだからなのでしょうね。

館内の展示は、「新選組のふるさと日野」の中心をなす「甲州道中」や「日野宿」の当時の様子を伝えるものがたくさんありました。

興味深かったのは、現在の新選組のイメージが司馬遼太郎の作品の影響を強く受けていることの指摘でした。新選組をテーマにする代表的な司馬作品に、「新撰組血風録」と「燃えよ剣」があります。あまりにリアルに描かれているから、近藤勇や土方歳三、沖田総司のイメージが固定されてしまった感があるのですな。

実際は、司馬作品で仲良く描かれている土方歳三と沖田総司。でも、考えてみれば、沖田総司のほうが道場の先輩であり、剣の腕も上だったと言われています。年齢は歳さんのほうが上ですが、相撲部屋も芸人も、先に入った方が偉いと言われます。

中途入社の年上社員が、叩き上げでスキルも上だった若い先輩社員と、うまく行くかと言われれば首を傾げざるを得ない。司馬作品では、沖田総司はからっとした明るい性格で、細かいことにこだわらない好青年として描かれているのですが…。

私が興味を持った展示は、天然理心流の型を紹介する写真。天然理心流は、剣術だけでなく居合術や小太刀術のほか、柔術や棒術も教えていたそうなのですよ。実践本位の総合武術というのは、新選組の活躍が証明していますね。

道場のような板張りの床のスペースがあり、そこに普通の木刀と丸太のような太い木刀が置かれていました。ここまでお膳立てができていると、剣豪ファンとしては素振りがしたくなってきますな。

丸太のような太い木刀をチョイスして振ってみたのですが、これは重い。十回ほど振って、これ以上やると明日筋肉痛になると思って自重しました。真剣もたぶんこれと同じくらい重いのではないかと。こんな重たいものを肌身離さず持ち歩いていたというだけでもすごいと思いました。

ほかにも館内には、新選組の羽織や有名な土方さんが肖像写真で着ている洋装を貸してくれるコーナーがあります。いろいろな大きさの服が揃っているので、それらを着て写真を撮ったら記念になりますね。ちなみに、前回ご紹介した日野宿本陣と共通観覧券(歴史館+本陣)を使えば両方見学しても、大人(高校生以上)300円なのでお得感最高ですよ。

ふるさと歴史館を出て、近くのレンガ色の建物の日野市役所で休憩。

隣には、日野中央公園があって、若者がギターの練習をしている姿が印象的でした。

ここから土方歳三資料館までは約3キロの道のり。日野バイパスを国立方面に向けひたすら歩きます。

永嶋 信晴

永嶋 信晴ビジネス便利屋兼ウォーキングライター

投稿者の過去記事

東京生まれ。早稲田大学および日本大学卒業。地方銀行に約十年間勤務した後、各種業務代行会社を設立し独立。趣味はウォーキングで、各地の名所旧跡を歴史的、あるいはオヤジ的な見地から訪ね歩く。司馬遼太郎とBS旅番組のファン。著書は、「新規開拓営業の教科書」(青月社)、「ハッスル老健」(ゆまに書房」など多数。

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