初心者におススメ、手軽に出かける秩父札所巡り「秩父34観音霊場」

埼玉県秩父市に江戸時代の巡礼道が残る札所34ヶ所の観音霊場があります。これを『秩父34観音霊場』と云いますが、西国33ヶ所、坂東33ヶ所と合わせて《日本百観音》と呼ばれています。

その百観音のへは多くの方が現在でも巡礼していますが、西国が約1000km、坂東は約1300kmもある大変な長距離です。あまりにも遠いので手軽にと云う訳にはいきませんが、秩父は約100kmと凡そ十分の一の距離なので、手軽に巡礼を行える巡礼ビギナーの聖地なのです。

巡礼デヴューをしたいとお考えの方に、手軽な『秩父34観音霊場』をご紹介します。

デヴュー前に知っておきたい基本項目

あくまでも巡礼ですから節度を持った行動は云うまでもありませんが、あまり堅苦しく考えることもありません。

短いと云っても約100kmありますので、泊りがけで行くか、何日かに分けて行くことになります。まずは気負わずに自分のペースで回ることを考えましょう。勿論、徒歩で行くのが基本なのですが、自転車や自動車、或はツーリストのバスなどを活用するのも良いでしょう。少なからず自動車の駐車場がほとんどの札所にありますので、早く回りたいなら自動車が一番です。

廻る順番も特に決まっていませんので、ご自分の計画で行くのもOKです。ただし、ある程度数字順に固まっていますので、順番に巡るのが効率的でしょう。服装や携行品も自由です。巡礼に付きものの”白衣”も着る必要はありませんが、着ることで身が引き締まるという方も多いようです。

各寺院では、「心を込めて祈願して頂ければ観光気分でも十分結構です」と云われていますので、まずは気負わずに出かけることが寛容です。

次からは、デヴューに相応しいおススメの札所をいくつかご紹介いたします。

札所第1番「四萬部寺」

廻る順番は決まっていませんが、できるならやはり札所1番の『四萬部寺』からスタートしたいものです。


本尊は”聖観音菩薩”で、その観音堂は、整った姿が評価され埼玉県指定文化財です。

観音堂の隣の《八角輪蔵の施餓鬼堂》で行われる施餓鬼は、関東三大施餓鬼の一つとして大変賑わい、古くは信者はもとより、多くの乞食たちに米を施したそうです。

特にこの1番札所にこだわるのは、ここには巡礼用のグッズが取り揃えられているからです。全く見たこともないような物がたくさんありますので、ご自分で気に入ったものを求めてはいかがでしょうか。分からないことは、お聞きすれば丁寧にお教えいただけます。

私からのお勧めは《御影》(おすがた)です。巡礼は、ある意味スタンプラリーですから、やはり何か巡った証を残したいものです。一般的には御朱印があるのですが、巡礼地にしかないのが《御影》で、所謂、本尊を描いた札を授与されるのです。


いづれにしてもあなたなりのスタイルで楽しんで下さい。

札所第4番「金昌寺」

本尊は”十一面観世音立像”で、まずは大きな”わらじ”が掛けられた山門に圧倒されることでしょう。

そして山門を抜けると、観音堂までの境内に何と1300体以上の石仏が迎えれくれます。すべて寄進者の注文で作られたものですが、《酒飲み地蔵》などはユニークで、本堂前にある《慈母観音像》のやさしい母親と無心な子供の姿に癒されることでしょう。

また、秩父札所の各寺には《札所絵巻》が掲げられています。各札所の様々な体験記が記載されていますので、お寺の周りをよく見て探してみてください。

札所第13番「慈眼寺」

ここをお勧めするのは二つの理由があります。


一つは、この場所が34ヶ所の中で一番駅に近い寺で、秩父鉄道御花畑駅から徒歩2~3分、西武鉄道の西武秩父駅からも徒歩10分程度ですから、電車でいらした方は、ここから始めるのが便利です。そういった背景から、ここには1番ほどではありませんが、巡礼グッズが取り揃えられていますので、ここで購入するのも良いでしょう。

もう一つは特別なご利益があることです。本尊は”聖観世音菩薩”で、再建された本堂の彫刻は見る者を圧倒します。

特にこの寺院が有名なのが境内にある《薬師堂》で、目の守り神として”あめ薬師”と親しまれています。これは、毎年7月8日の大祭の縁日で、境内に飴を売る露天商が並ぶことから呼ばれたものです。


また、本堂前には珍しい《メグスリノ木》が植えられていて、この樹皮から煎じたお茶”眼茶”があります。


いずれも社務所で買い求めることができ、更に眼茶は試飲もできるのです。

札所第17番「定林寺」

秩父市街地にある『定林寺』の本尊は”十一面観世音菩薩”で、本堂は四間四面の宝形造りで回廊をめぐらしている見事なものです。室町時代における札所番付では、ここが第1番であった寺です。

また、ここにある梵鐘は日本百観音の本尊が浮き彫りにされている珍しいもので、県の有形文化財になっています。


この梵鐘はどなたでも撞けるのですが、必ず参拝の前に撞きましょう。禁じられている行為に参拝後の”戻り鐘”は撞いてはいけない決まりがあります。

これは、「これから参拝させて頂きます」という意思を伝えるのが鐘撞きで、所謂、家のチャイムを鳴らすのと同じことです。そして戻り鐘は、現代でいうところの”ピンポンダッシュ”のようなもので無礼だと考えられているからです。

全ての寺院が撞ける訳ではありませんが、撞ける寺院では撞いてからお参りしましょう。

更にここのお勧めはロケ地であることです。


秩父を舞台にした『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の重要な一コマで、主人公たちが集まったのがこの定林寺なのです。

因みに写真にある小坊主さんは各寺にあり、納経所を表していますので、御朱印や御影などは全てそこに向かいましょう。

札所第23番「音楽寺」

全国的に珍しい名前ですが、正式な名称は『松風山音楽寺』です。何とも風情のある名前で、松の梢を吹く風の音が菩薩の音に聞こえたという由来から付けられたものです。

本尊の”聖観世音菩薩”を祀る本堂は、三間四面ふき寄せ二重垂木、向拝のない江戸中期の大きな堂です。

また、境内には一本の枝が、横に数メートルほど伸びている県の天然記念物の“御影松”があり、明治の自由民権運動の一つ秩父事件で、市街地へ突入する際の合図として鳴らされた梵鐘もあります。

またこの音楽寺は小鹿坂峠の中腹にあり、本堂の裏手を少し上ったとこに「十三賢者」の石像が祀られています。この十三賢者は、秩父巡礼地を開設した賢者たちです。

そして、現在では音楽所縁の地として、多くの歌手たちがヒット祈願に訪れているのです。

札所第28番「橋立堂」

本尊は秩父札所唯一の馬頭観世音で、高さ80mもある石灰岩の直立した岩壁下に建てられた本堂に祀られています。大岩壁の下にくい込むように立つ本堂は、屋根も垂木も組物も朱色に塗られた造りで、江戸中期の建立といわれています。

本尊が”馬頭観世音菩薩”であることから「馬の観音様」と親しまれ、境内には”馬の銅像”や左甚五郎作だとされる栗毛と白馬の彫像が祀られた《馬堂》も見どころです。

最大の見所は納経所の隣に《橋立鍾乳洞》があり、自然の神秘を間に辺りにすることができます。

あなたなりの巡礼を楽しんで

今回は観光スポットとして見所の札所をご紹介しました。実際にいくつか巡ってみて、楽しかったら34ヶ所をすべて巡ってください。祈願とともにその達成感は、ちょっと人生の充実感を味わえるかもしれません。

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