鉄道、冒険、昆虫、郷土芸能など個性豊かな公園や施設を巡る旅 東京都板橋区を歩く

無料で機関車やバスに触れあえる城北交通公園

今回行ったのは、東京都板橋区。昔、仕事でよく歩いた地域ですが、歩き疲れて小休止に寄った公園がどこも魅力的だった記憶があります。住宅街によくある、ベンチと遊具施設だけの公園ではなく、それぞれコンセプトがあると言いますか。そして板橋はまた、個性的な区営の施設もあるのですよ。久しぶりにノスタルジックな気分に浸りながら歩いてみようか、と…。

ウォーキングのスタートは、都営三田線の蓮根駅。地下鉄というのに、この辺りに来ると駅は皆、高架になっているのですな。駅前から住宅街を抜け、団地のそばを通って来たのが、城北交通公園。

公園のシンボルになっているのが、D51型蒸気機関車、通称デゴイチですね。前に来たときより、年齢を重ねてますます渋くなっているのが印象的。

運転席も複雑で、ちゃんと走らせるには現代の運転手以上の熟練と体力が必要だったのでしょうね。

近くには、都バスも置かれ、中を見学することができました。また、園内の交通資料館では鉄道模型が見られるのですな。模型はどれも古かったですが、逆にノスタルジックな気分になりました。

外へ出て、次に目に留まったのが、この年代物の蒸気機関車。

あまりに小さいので、昔の遊園地のアトラクションかと思ったら、なんと当時メジャーで活躍していたというからびっくり。1912(明治45)年にドイツのコッペル社で製造されたらしい。その名もかわゆく、ベビーロコ号。

当初は和歌山県の有田鉄道で活躍し、1952(昭和27)年、東武鉄道の気動車と交換して、東武東上線の川越機関区に配置されたのだとか。ただ、最大時速は20キロで、燃料や水の積載量が少ないことから、実際はほとんどなかったようですね。引退してから保管場所を転々として、現在の場所に移されたのですか。

それにしても、小さいニャーと思ったのですが、日本で最初に新橋と横浜の間に開通した鉄道も、陸蒸気(おかじょうき)と呼ばれ、これくらいの大きさだったのでしょうね。

国民栄誉賞の探検家に触れあえる植村冒険館

次に向かったのは、「植村冒険館」。ここに来たのは、20年ぶりですかね。当時は夏真っ盛りで、汗まみれで火照った体を休めようと、立ち寄ったのでした。植村冒険館には、ご存知国民栄誉賞を受賞した冒険家植村直己の生涯と数々の冒険で使用したグッズなどが展示してあります。

当時、エベレスト登山の苦労を知って、勇気をもらったことを思い出しました。いくら仕事が辛いと言っても、命までは取られませんからね。

犬ぞりを使って北極点到達やグリーンランド縦断など、単独で偉業を達成したところが素晴らしいですね。狭いテント暮らしが何か月も続き、しかも話し相手は犬だけ。話好きな人だったら、それだけで心身に異常をきたしてしまうかもしれませぬ。

冒険家としての植村直己のすごい点は、冒険の現地で長期間を過ごし、生活まで現地の人たちに溶け込んでしまうところにあったらしい。たとえば、グリーンランドを犬ぞりで横断したときは、エスキモーの家に寄宿し、犬ぞりの技術はもちろん、衣食住や狩・釣りに至るまで、極地に暮らす人々から直に学んだそうな。

それほど大きな博物館ではありませんけど、一階には冒険や登山関係の書籍、ビデオが無料で利用できますから、それらの趣味を持っている人にはたまらないかもしれませんね。

起伏のある土地に、魅力的なスポットがいっぱい

冒険館を出て、住宅街をテクテク歩き、環八通りを横断して坂道を上ります。関東平野といっても、このあたりは起伏がかなりあって、とても23区内とは思えない。

つい最近までのどかな農村風景が広がっていたのだろうとイメージしつつ、住宅街を歩いていると、由緒がありそうなお寺がありました。

これは、曹洞宗の古刹・円福寺。かつて太田道灌により川越に創建され、江戸時代初期にこの場所に移転したのですか。

本堂の前にそびえるコウヤマキの2本の大木が印象的でした。

この辺りを歩いていると、ところどころ緑豊かな公園にぶつかります。都会の中にある人工的な児童遊園と違って、起伏があって自然な森のようになっている公園は癒されますな。

そんな公園の一つが、西徳第二公園。見晴らしの良い公園で、昔を思い出しながら小休止ですね。

不動通りを超え、前谷津川緑道を通って、昔行ったことのある昆虫公園へ向かいます。

それほど広くはありませんが、雑木林の斜面に、昆虫のいる3つの温室と小さな標本室があった記憶があります。

ところが、それらの施設が撤去されて、ロープが張られていました。施設の老朽化によるものだそうですが、なじみの場所がなくなってしまったのは寂しい気分。リニューアルされるそうですが、無料で昆虫を見放題はお得感があったので是非再現してほしいと思いました。

昆虫公園の施設は無くなっていましたが、跡地にはとんぼが大量に飛んでいて、さすが昆虫公園だと思いましたね。

昆虫公園から前谷津川緑道に戻り、今度は反対側の坂道を上ります。前谷津川は現在暗渠になっていて、その上が緑道として整備されていますが、昔は川の両側は崖になっていたのでしょうね。現在も崖があったと思われる場所は、相当な急坂。その坂道を、ベビーカーを押した若いお母さんが息を切らしながら押しているのが印象的でした。

長崎など坂道の多い町に住む人たちは、足腰が丈夫で心肺機能も高いそうですが、日々の買い物などで毎日この坂道を登ったらメタボとは無縁かも。便利で楽なだけが、幸せではないと思いましたね。

田あそびという神事に触れあえる北野神社、郷土芸能伝承館

そんなことを考えつつ坂道を登りきると、由緒ありそうな神社がありました。こちらは北野神社。

なんと、995年創建の板橋区でもっとも古い神社なのだとか。この神社には、毎年2月11日に行われる「田あそび」という神事があるそうですね。「田あそび」というから、田んぼに村の人たちみんな集まってお花見やカラオケみたいなことをするのかなと思ってしまいました。

実は、水田耕作に関わる行事で、年の始めに、その年の五穀豊穣と子孫繁栄を祈願し、稲作の作業内容を唱え、言葉と所作によって表現するのだとか。

神社の隣にある郷土芸能伝承館には、そのときに使用する衣装や道具が展示されておりました。

永嶋 信晴

永嶋 信晴ビジネス便利屋兼ウォーキングライター

投稿者の過去記事

東京生まれ。早稲田大学および日本大学卒業。地方銀行に約十年間勤務した後、各種業務代行会社を設立し独立。趣味はウォーキングで、各地の名所旧跡を歴史的、あるいはオヤジ的な見地から訪ね歩く。司馬遼太郎とBS旅番組のファン。著書は、「新規開拓営業の教科書」(青月社)、「ハッスル老健」(ゆまに書房」など多数。

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