近鉄最古の路線・道明寺線!近鉄史の生き証人&大和川付け替えの舞台

日本最長の私鉄・近鉄

JRを除き、私鉄で日本最長路線を誇る近畿日本鉄道(近鉄)。その総路線距離は501.2km(第三種鉄道事業を含めれば575.3km)にも及ぶ巨大私鉄です。

なにしろ大阪難波駅と近鉄名古屋駅を結ぶ名阪特急をはじめ、京都、奈良、吉野、伊勢志摩方面など近畿および東海地方を網羅する、とても私鉄とは思えない長距離を走ります。

吉野線を走る近鉄特急

近鉄の歴史が始まった道明寺線

しかし、近鉄は最初から巨大路線だったわけではありません。始まりは、ほんの小さな鉄道でした。

現在、大阪府南東部に道明寺線という近鉄南大阪線の支線が走っています。起終点を合わせて駅数は僅かに3駅、路線距離は2.2kmと、近鉄全路線の0.4%に過ぎません。でも、この道明寺線こそが、近鉄最古の路線なのです。

近鉄最古の路線ながら、短距離の支線となった道明寺線

明治時代の1898年(明治31年)3月、柏原駅から道明寺駅を経由して古市駅まで結ぶ河陽鉄道が開通しました。この河陽鉄道こそが近鉄の元祖です。翌4月には富田林駅まで延伸しましたが、翌年の1899年(明治32年)に経営破綻し、河南鉄道が路線を継承しました。

1902年(明治35年)には長野駅(現:河内長野)まで開通、河南鉄道は柏原駅~長野駅を結ぶ南河内地方の動脈となりました。さらに、大阪進出を目指していた同社は大阪鉄道(大鉄)と社名変更、1923年(大正12年)には大阪天王寺駅(現:大阪阿部野橋)~道明寺駅間が全通し、現在の南大阪線の基礎が出来上がったのです。

近鉄南大阪線のターミナル、現在の大阪阿部野橋駅付近

しかしこの際、コースから外れた柏原駅~道明寺駅間は柏原線という支線となり、さらに翌1924年(大正13年)に柏原南口駅が開業して、現在の道明寺線と同じ形態になりました。

その後、大鉄は大和延長計画を実施、1929年(昭和4年)に大阪阿部野橋駅~吉野駅が直通運転を開始して、古市駅~長野駅間は長野線となり、現在の南大阪線とほぼ同じとなったのです。かつての河陽鉄道、河南鉄道のうち、”本線格”として生き残ったのは道明寺駅~古市駅間の1駅間のみとなりました。

戦時中の1943年(昭和18年)に大鉄は、大阪方面と名古屋・伊勢方面を結んでいた関西急行鉄道(関急)に合併され現在の近鉄とほぼ同じ路線網となり、翌1944年(昭和19年)に関急は南海鉄道(現:南海電気鉄道)と合併、近畿日本鉄道に改称したのです(戦後に南海鉄道とは分離)。

河内長野駅で近鉄長野線(左)と南海高野線(右)が並ぶ。戦時中に両社は一時的に合併

道明寺線の旅

では、道明寺線の旅にご案内しましょう。まずはJRの大阪環状線の京橋駅、大阪駅、西九条駅、新今宮駅、天王寺駅などの主要駅から大和路快速に乗って久宝寺駅で普通電車に乗り換え、3駅目の柏原駅で下車します。

跨線橋を渡ると、JRと同じホームに近鉄のホーム(1番線)もあるので、そこから近鉄電車に乗ってください。ICカード利用の方は、ホーム上にタッチパネルがあります。

左がJRの関西本線(大和路線)、右が近鉄道明寺線と、ホームを共用する柏原駅

大和川付け替えの地・柏原南口駅

2両編成、ワンマン運転の近鉄電車がゴトゴト走り始め、僅か1分で柏原南口駅に到着しました。道明寺線唯一の途中駅で、もちろん無人駅です。

この駅の近くには、大和川付け替え記念碑があります。現在の大和川は、奈良県から大阪府柏原市に入り、西へ真っ直ぐ堺市方向に伸びて大阪湾に注ぎ込みますが、江戸時代以前は現在の柏原南口駅付近で北に流れを変え、大阪城の近くで淀川と合流していました。

奈良県から流れて来る大和川。昔は石川と合流するこの辺りから北(左)に流れを変えていた

しかし、大和川は度々氾濫を起こし、大災害に見舞われました。そこで地域住民が大和川の付け替えを江戸幕府に何度も訴えましたが、なかなか認められませんでした。

この運動は約50年も続き、中甚兵衛の尽力により1704年にようやく幕府の許しを得て、大和川は今とほぼ同じルートとなり、洪水はほとんどなくまりました。つまり、現在の大和川は江戸時代に付け替えられた人工の川なのです。

柏原南口駅の近くにある中甚兵衛像。記念碑もある

終点の道明寺駅にはまだまだ楽しみが……

電車は柏原南口駅を出て大和川を渡り、道明寺線の終点である道明寺駅に到着しました。僅か4分の旅も終了です。ここで南大阪線に乗り換え、吉野や河内長野方面あるいは大阪市内に戻る大阪阿部野橋方面に行くことができます。

もちろん、道明寺駅で降りて散策するのもいいでしょう。ここはNHK大河ドラマ真田丸」の真田信繁(幸村)とは「道明寺の戦い」で縁の深い土地でもあります。その件に関しては、また日を改めてご案内することにしましょう。

たった4分で2.2km、道明寺線の旅に出掛けてみませんか。

終点の道明寺駅に着いた道明寺線の電車。奥は南大阪線

安威川敏樹

安威川敏樹スポーツを中心とするライター

投稿者の過去記事

大阪府在住。作業関連機器の設計から、スポーツを中心としたライター・コラムニストに転身。野球雑誌等に寄稿の他、電子本に野球小説を執筆。野球の独立リーグでの公式記録員の経験あり。野球以外では、ラグビー雑誌にも寄稿。モットーは「文字をオモチャにして遊ぶ」。

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