高校ラガーマンは「冬の花園」を目指す!ラグビーの聖地・東大阪市花園ラグビー場~その1

甲子園と並ぶ高校スポーツのメッカ、花園ラグビー場

春夏の高校野球のメッカと言えば阪神甲子園球場ですが、高校ラグビーでも選手たちが憧れる場所があります。それが東大阪市花園ラグビー場です。

「春夏の甲子園」に対して「冬の花園」と呼ばれ、年末年始になると全国の地区大会を勝ち抜いた高校が花園ラグビー場に集い、全国高等学校ラグビーフットボール大会が行われます。したがって「正月を花園で迎える」というのが高校ラガーマンの目標です。

東大阪市花園ラグビー場はその名のとおり、大阪市の東隣りにある東大阪市に所在します。以前は近畿日本鉄道(近鉄)が所有していたため近鉄花園ラグビー場という名称でしたが、現在は東大阪市に移管されたので現名称になりました。

花園ラグビー場の東側には生駒山がそびえており、高校ラグビーの季節になると厳しい「生駒おろし」が吹き荒れます。観客にとっては寒いのですが、「生駒おろし」が高校ラグビーの独特な雰囲気を醸し出し、この風が思わぬドラマを生んだりもします。

花園ラグビー場の入場門。全国高校ラグビーに大勢の観衆が集まる

「ここにラグビー場を造ったらどうだい」

花園ラグビー場には3面のグラウンドがあり、全国高校ラグビーでは全てのグラウンドが使用されます。やはり有名なのはメインの第1グラウンドで、収容人員数は約2万人を誇り、その規模はラグビー専用場としては東京の秩父宮ラグビー場に匹敵します。

全国高校ラグビーでは一回戦から決勝戦まで行われます。そして、日本最高峰のトップリーグ、近鉄ライナーズの本拠地でもあります。また、全国大学ラグビーでも使用される、まさしく西の聖地です。

花園ラグビー場が完成したのは戦前の1929年(昭和4年)。その前年、近鉄の前身である大阪電気軌道(大軌)に秩父宮雍仁親王が乗った際、ちょうど花園の近くを通った時に、

「この辺りは随分土地が余っているね。最近、盛んになってきたラグビー場でも造ったらどうだい?きっと会社も儲かるよ」

と言ったのでした。その時、大軌の重役は冗談だと思って聞き流したのですが、2度目に秩父宮親王が大軌に乗った時「ラグビー場はまだ出来ないの?」と言ったので、大軌の幹部は「殿下は本気だ」と悟り、慌ててラグビー場を建設したのでした。そして日本初のラグビー専用場、花園ラグビー場が誕生したのです。

秩父宮親王は「スポーツの宮様」と呼ばれるほどのスポーツ好きで、特にラグビーを好んでいました。もちろん、秩父宮ラグビー場の名称の元になったのは言うまでもありません。

なお、花園ラグビー場が全国高校ラグビーの会場となったのは、1963年(昭和38年)の第42回大会からでした。それ以前は、甲子園球場を使用したこともあります。

全国高校ラグビーの決勝戦、満員の観衆で埋まった花園ラグビー場・第1グラウンド

臨場感抜群、第2グラウンド

次は第2グラウンドに移動しましょう。第1グラウンドの北側、スコアボードの裏にあります。場所としては、第1グラウンドの入場門から入って、一番奥に進むと辿り着きます。なお、第2グラウンドは第1グラウンドと同じ敷地内にあるので、両グラウンドとも自由に行き来できます。

第2グラウンドは全国高校ラグビーの二回戦まで使用されます。収容人員数は約1,300人と第1グラウンドに比べると圧倒的に少ないのですが、その分グラウンドに近く、臨場感は抜群です。そのかわり、スタンドは4段と低いため、グラウンド全体はちょっと見渡しにくくなっています。

第1グラウンドに比べると使用頻度が低いので、芝生の状態も良好に保たれています。高校ラグビーでは、第2グラウンドで選手を間近に見られて迫力あるプレーを堪能できる絶好のチャンス。ぜひ行ってみてはいかがですか?

迫力あるプレーを間近に見ることができる第2グラウンド

花園の魅力はまだまだ続く

花園ラグビー場には他に第3グラウンドがあり、その他の施設など、まだまだ紹介しきれていないのですが、今回はこれにて失礼します。次回の「その2」にご期待ください。

かつて、江川卓は「高校野球における甲子園は、プロ野球での甲子園とは違う、春と夏に突如現れる夢の楽園」と言ったことがありますが、花園ラグビー場にも同じことが言えます。高校ラガーマンにとっても、花園ラグビー場は夢の楽園なのです。

(つづく)

第1グラウンド、開会式で勢揃いする高校ラガーメン

安威川敏樹

安威川敏樹スポーツを中心とするライター

投稿者の過去記事

大阪府在住。作業関連機器の設計から、スポーツを中心としたライター・コラムニストに転身。野球雑誌等に寄稿の他、電子本に野球小説を執筆。野球の独立リーグでの公式記録員の経験あり。野球以外では、ラグビー雑誌にも寄稿。モットーは「文字をオモチャにして遊ぶ」。

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